マスクが不足して、ストックが残りわずかということを、何人ものお客さんから聞きました。
このままマスクを買えないと、とても困ると口をそろえて言われます。
おそらく日本中にこんな方がたくさんいることでしょう。
そんなことで今日は、日本衛生管理協会が公開している(不織布)マスクの洗い方をお伝えしてみます。
日本衛生管理協会『(不織布)マスク再生術』
リンク先を見てもらえば分かるのですが、紹介するのは急場しのぎ、応急措置の方法です。
しかし、ちゃんと消毒をして再利用する方法を伝えてくれています。
順序は以下のようになっています。
- 水を浸透させる
- 中性洗剤に浸透させ、軽く押し洗いして10分放置
- 中性洗剤を流水洗浄
- 水分をきる
- 次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)に浸透させ10分放置
- 流水洗浄
- マスクをアイロンを使って乾燥させる
大まかに言うと、このような流れになります。
この工程で、たんぱく質汚れを分解し、ウイルスの除菌も行っています。
この作業を、我が家にあるもので行ってみました。
実際に行った方法と注意点を書いてみますが、最初に断っておきます。
再生法となっていますが、生地が傷んでヨレヨレ、ボロボロになったものを、新しくなったように再生させる方法ではありません。
汚れや付着しているかもしれないウイルスなどを洗浄・消毒して、気持ちよく使うための再生方法であって、洗浄・消毒に耐えられる状態であることが条件です。
不織布マスク洗浄と再生に用意したもの
まず、用意したものを見てもらいましょう。
奥の左からステンレスのボウル、メスシリンダー、キッチンブリーチ(ハイター)、食器洗い用洗剤。
手前左から、磁気の皿、プラスチックの皿、洗うマスク。
このようになっています。
ステンレスのボウル、磁気の皿、プラスチックの皿は、マスクを洗うために用意した容器のようなものです。
日本衛生管理協会では、ステンレス製のトレイを使っていますが、家庭にあるもので代用する形にして、今回ワタシは、白い皿を使うことにしました。
マスクも皿も白なので、写真を撮るのには適していないのですが、大きさと深さがちょうどよかったのです。
そして、最初に書いておきますが、用意した食器洗い用洗剤は『JOYジョイ』しかありませんでした。
日本衛生管理協会が推奨するのは中性ですが、この製品は中性ではなく弱アルカリ性です。
この洗剤は除菌効果もあり、のちに使う次亜塩素酸ナトリウムと混ぜてはいけない酸性ではないので、この洗剤を使うことにしました。
では不織布マスク洗浄と再生の手順に移ります。
不織布マスク洗浄と再生の手順
マスク洗浄の第一歩は水に浸すことから始めます。
不織布マスクを水に浸す
マスクを水に浸透させます。
この時、軽く押し洗いするようにしないと、水が浸透しないので、軽く押してみてください。
家庭用食器洗い用洗剤の溶液に不織布マスクを浸し洗浄
次に、家庭用食器洗い用の食器洗い用の洗剤の溶液に浸透させます。
洗剤の濃度は、下の写真のように浅い皿であれば、1滴入れる程度でよいでしょう。
浸ったら押し洗いをします。
この時、揉むように洗ってしまうと不織布が傷んでしまうので、気を付けてください。
洗剤に漬けたまま10分放置して、タンパク汚れなどを分解します。
その後、流水で洗剤を流します。
この時も、ゴシゴシと洗わず、プリーツ(マスクのひだ)を畳むようにしながら流したのち、水分を切ります。
次亜塩素酸で不織布マスクの消毒
次はマスクの消毒です。
消毒には次亜塩素酸を使います。
えっ!?
アルコールじゃなきゃダメでしょ。
と思った方もいるでしょう。でも、次亜塩素酸で消毒できるのです。
ご存知のように、次亜塩素酸はノロウイルスに対しても効果があり、もちろん、新型コロナウイルにも効果があります。
厚生労働省が出している情報があるのでご覧いただければと思います。
厚労省 新型コロナウイルスに関するQ&A
次亜塩素酸はキッチン用のハイターでOKですが、勘違いしないでほしいので書いておきます。
次亜塩素酸はアルコール消毒のように手指の消毒には適していません。このことについては、花王のHPでも説明されています。
花王のHP
このように次亜塩素酸は新型コロナウイルスに対して効果がありますが、濃度を守って使用することが大切となります。
次亜塩素酸の濃度は0.1%。この濃度で使用します。
ただ、ここで困るのが、市販されているハイターなどの商品には濃度が表記されていないこと。
それで参考にしたのは、最初に書いた『日本衛生管理協会『(不織布)マスク再生術』』の中で出てくる濃度についての説明です。
有名な製品ですと500mlに対してペットボトルキャップ5杯で0.1%になります。ちなみに「泡スプレー」タイプは製品自体が0.6%です。
日本衛生管理協会HPより引用
これを参考に、300mlの水にペットボトルキャップ6杯の次亜塩素酸の液を入れました。
ここでも気を付けてほしいことがあります。
通常、ブリーチを使用する場合、容器の蓋・キャップを使った濃度が書かれています。
しかし、日本衛生管理協会では、ブリーチのキャップではなく、ペットボトルのキャップを使って濃度を決めているので間違わないようにしてくださいね。
今回、次亜塩素酸の濃度をなぜ2倍にしたかというと、使っているキッチンブリーチが有名メーカーではなく、ホームセンターのオリジナルブランド製なので、念のためです。
そのようにして作った溶液を皿に入れ、マスクを浸します。
浸した後、消毒のため10分漬けおきします。
その後、流水で流します。
この時の注意は、しっかりと流すこと。
しっかりと流しても、においが残るんです。
においを少しでも軽減するため、しっかりと流してください。
次は最後の仕上げ乾燥の工程ですが、注意してほしいことがあります。
マスクの乾燥にアイロンの熱を使う
最後に乾燥させるのですが、日本衛生管理協会ではアイロンで一気に乾かす方法が書かれています。
なので、やってみました。
タオルの上に濡れたマスクを置きます。
さらにその上にタオルを置いて綿の生地に設定したアイロンをかけます。
この時発生する蒸気する蒸気も消毒の一つとなります。
このようにアイロンをかけてみたのですが、一度では乾いてくれませんでした。
アイロンの熱が低いのか、タオルが厚すぎるのか?
何度か試して乾かないので、エイっ! とマスクに直接アイロンをあてました。
するとですね、不織布の生地が溶けるように一瞬で消えてしまったのです。。。
不織布のマスクに高温のアイロンをかけると生地がなくなってしまう。
これも注意してほしいところです。
洗濯のりを使うと、パリっと仕上がると書かれていますが、その工程は行いませんでした。
ワタシ個人の感覚ではアイロンをかけなくても問題ないように思います。
下の写真は、アイロンをかけたものと、かけていないものを並べています。
上がアイロンなし、下がアイロンありとなっています。
色々と失敗がありましたが、このようにして不織布マスクを再生することが可能です。
不織布マスク再生・洗浄についてのまとめ
このようにして、不織布マスクを洗浄することで再生することが可能です。
しかし、最初に書いたように、これはマスクが手に入らないときの緊急手段です。
今回は一度しか洗っていませんので、何回くらい洗えるのかはわかりません。
一度洗った感覚で書かせてもらうと、2~3度なら大丈夫じゃないかと思います。
しかし、洗う時のマスクの状態にもよるので、間違いなく2~3度洗えるということではないことを断っておきます。
注意点としては!
揉み洗いしないこと。
次亜塩素酸の濃度を消毒できる濃度にすること。
次亜塩素酸に浸した後はしっかりと流し、においがあまり残らないようにすること。
アイロンを使う場合は、直接マスクにあてないこと。
これらに気を付けると、よろしいかと思います。
以上、不織布マスクの洗浄と再生方法をお伝えしました。
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コメント
すみませんが、一般の布マスクとかなら良いのですが、この方法はサージカルマスクでは、ダメだと思います。まず、サージカルマスクの機能で最も大切なのは、フィルター機能です。これは、ザルの原理ではなく、帯電させた微細繊維でウイルスを吸着します。なので、中性洗剤で洗ったり、次亜塩素酸を使うとフィルター機能が3割ぐらい落ちます(アルコールも同様)。次が表面の撥水機能です。真ん中のフィルター層が濡れないためです。こちらも、中性洗剤とアイロンでどうなるか・・・。スタンフォード大学が再生法を試し、70度C30分の温熱で、とレポートしてますので、滅菌はそちらで。でも、汚れは落ちないので、そちらは、使い捨てのシートなりで対応を。https://techable.jp/archives/120702?fbclid=IwAR3eOtrlp7xS2cRZo3GZMFpCmYuCWTZyMwT3XEDvfhaZRqJw6U4gciR7Rzc
を参照してください。
>近藤信介さん
提言ありがとうございます。
このブログで紹介しているのは、日本衛生管理協会の公開ページを参考にしたもので、あくまで、マスク不足時の応急措置・緊急手段です。
ブログで紹介している日本衛生管理協会の公開ページにも応急措置と書かれています。
サージカルですから使い捨てが基本ですが、新しいマスクが手に入らないので、あるものを何とか使い続けたい場合、こんな手順を踏めばマスクに付着しているタンパク汚れやウイルスを不活性化させることができるという方法を示してくれているだけです。
フィルター機能に関しては、私の理解の範ちゅうの外にありますので、頂いた提言は、日本衛生管理協会に直接お伝えいただければと思います。