作家、司馬遼太郎さんが晩年を過ごしたのは、
我が東大阪。
しかも、隣駅の河内小阪から歩いて行ける距離にあり、
司馬さんが亡くなられてからは、
司馬遼太郎記念館として公開されています。
・竜馬がゆく
・菜の花の沖
・夏草の賦
・峠
・功名が辻
好きな作品はたくさんあるのですが、実はワタシ、
司馬さんのファンになったのは、その死後でした。
司馬さんが同じ市に住んでいることすら知りませんでした。
その死後、司馬さんの著書で一番最初に手にしたのが
「竜馬がゆく」。
この本を最初に選んだのは、ついていたと思います。
もし最初に「空海の風景」を手にしていたら、
たぶんここまで好きにならなかったでしょう。
というのも、歴史小説で戦国時代と幕末以外は
ほとんど興味を持たないので、代表作だからといって、
空海のことを読んだとしても、
たぶん引き込まれなかったと思うのです。
それからというもの、司馬さんの作品を読み漁り、
「竜馬がゆく」は、少なくとも3度は読み返しています。
こんなに読みやすくて分かりやすく、
小説の中に没頭できる文章を書く方が、
72歳という若さで亡くなったのです。
定休日の昨日、夕刻に少し時間ができたので、
閉館の1時間ほど前に司馬遼太郎記念館に
足を運んできました。
入り口を入り小道を進んでいくと、
司馬さんが執筆をしていた書斎を見ることができます。
この書斎は、司馬さんが急逝した当時のままの状態で
残されているそうです。
書棚には絶筆となった街道をゆくシリーズの
「濃尾参州記」に関する資料が並んでいます。
一冊の本を書くために、多くの資料を集め
その資料に囲まれた状態で執筆するのが
司馬さんのスタイルだったそうで、
そのご自宅はやがて、図書館のようになり、
蔵書を収納する書棚が廊下にまで
増えていったということです。
窓越しに見ると、執筆されていたデスクに、
黒縁のメガネが置かれ、ペン立てにはたくさんの
ペンが入っていたりします。
そして椅子にはムートンの敷物が見えます。
司馬さんが倒れられたのが2月。
寒い時期ですから、このムートンに納得がいくのです。
今はこの母屋の奥に記念館が建てられていて、
そのすさまじいまでの蔵書が高い壁一面に展示されています。
コンリート打ちっぱなしの天井に、
竜馬のシルエットが浮かび上がっているのは
有名な話ですよね。
ただ、館内は撮影禁止なので、その写真はありません。
館内にはシアターがあり、生前の司馬さんの映像などを
見ることができます。
庭の一か所に司馬さんが好きだったという
菜の花がプラタンターに植えられていました。
また、書斎の前にも花壇が作られ、
菜の花が鮮やかな緑色の葉を見せています。
司馬遼太郎記念館最寄りの近鉄奈良線の
河内小阪や八戸ノ里駅近くには、
春になると菜の花の黄色い花をよく見かけるのは
司馬さんを偲んでのことなのです。
月曜日が休館なので、ワタシのように月曜日が
定休日のものにとっては行きにくい場所なんですが、
時折、どうしても行きたくなる場所の一つなのです。
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