今日は、本について書いてみます。
パソコンを触る時間が増えるとともに、活字を読む時間が減り、大切にとっておいた本を処分するようになってしまいました。
今日、紹介する本も、処分してしまい、今になって後悔しています。
本のレビューを書こうと思い立ったとき、最初はこの1冊しかないと思える、ワタシにとって、とても印象深い一冊です。
タイトル : 黄金の日々
作者 : 城山三郎
時は戦国時代、一つの国だった堺の商人の目線で、全国統一をなした豊臣秀吉、その主、織田信長の生きざまや、戦国時代の歴史を教えてくれる本です。
主人公は堺の商人、ルソン助左衛門。
経済を制することで巨大な武力を持ち、国を栄えさせようとした信長は、中世からの脱却をもくろんでいたとも言えます。
その流れを汲み、さらなる商業立国を目指したように見える豊臣秀吉。
城山三郎さんが書くこの小説は、単純な歴史小説ではなく、経済小説の面を持っていました。
後に知ることですが、この本の作者『城山三郎』さんは、日本における、当時の経済小説の第一人者だったのです。
主に、経済小説を書かれている城山さんが、なぜ、歴史小説を書いたのか、本当の所は知りませんが、織田信長と豊臣秀吉は経済を熟知していて、経済ありきの国作りを考えた歴史上の人物なので、城山さんが興味を持たれたのではないかと想像しています。
この本を読んだことで、しばらく城山三郎さんの本を読み漁ることになりました。
ワタシが本を読むようになったのは社会人になってからでした。
修業時代、仕事がなかなか上達せず、気分的に落ち込んでいた時でした。
仕事が終わって寮に戻り、フラっと散歩に出かけた時、たまたま入ったのが本屋さんでした。
漫画は読んでいたので、少年マンガのコーナーを見るものの興味が沸かず、店内をブラブラしている時、たまたま目に留まったのが『黄金の日々』というタイトルの文庫本だったのです。
文庫本は安く買えたので、少ない給料の自分でも買えたんですよね。
当時、歴史にまったく興味がなかったのに、なぜか、この本を手にしたことで、戦国時代に興味を持ったのです。
この本に巡り合えたことで、読書に目覚め、一年に40~50冊ほど本を読むようになりました。
読書は、ワタシの考え方に変化をもたらしました。
歴史を読むと、今の時代に投影される部分が多くあります。
移り変わる時代の中で、人が何を考え、どのように行動したのか?
人はなぜ同じ過ちを繰り返すのか?
困難に立ち向かうとき、何を心の支えとしたのか?
色々な場面で、歴史は道しるべとなるものだと思います。
のちの世の人に、感動を与え、勇気をもたらしてくれるのは、時の覇者だけではなく、一生懸命生きた人たちだと教えてくれたのも本でした。
今思うと、本を買ったシチュエーションを今までまで覚えているのはこの本だけです。
約35年ほど前に買い、その後、何度も読み返したため、ボロボロになってしまい、今年、思い切って処分したのですが、今になり、ボロボロでも取っておくべきだったと後悔しています。
自分にとって、とても、とても印象深い一冊です。
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